LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
店に入ると、鈴蘭が目を輝かせた。
「わたし、こういうお店、初めて!
家族とも友達とも来たことなかったの!」
師央も、おずおずと微笑んだ。
「ぼくも実は、ほとんどないんです。
伯父一家と一緒に、隠れるようにして住んでて。
あまり外出しなかったから」
理仁が頬を掻いた。
「ふぅん。
おれは一時期、めっちゃ使ってたけどね~。
うち、姉貴がいるんだけど。
全っ然、料理できない人だからさ~」
意外だ。
理仁は金持ちの放蕩息子のはずだが。
海牙が、波打つ髪を掻き上げた。
「ぼくは1人では来るけどね。
人と来たことは、今までなかったな」