LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
「ええ、そういうことです。
物理学用語を使った比喩表現だけどね。
大樹が支えきれる“質量”が10だとします。
“質量”1の枝が10本あるのはセーフ。
でも。
そのうちの1本が“質量”2になったら?
“質量”は必ず整数だと仮定したら?」
師央が答えた。
「“質量”が0になる一枝が出てくる。
つまり、一枝が消滅するわけですね」
海牙はうなずいた。
「運命の大樹は、そんなふうにして。
全体の“質量”のバランスを取っています。
“質量”の小さい枝は消える。
“質量”の大きい枝に呑まれるように」
理仁が眉をすがめた。
「まーだわかんない。
“質量”の大きい小さいは、どこで決まるの?」