LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


海牙は表情を消して答えた。


「人間の感情エネルギーによって決まります。

これも比喩表現だけどね。

感情エネルギーを数値化するんです。

その数値が高ければ、“質量”が大きくなる。

逆もまた然り。

最も“質量”の大きい状況、想像できますか?」


緑がかった海牙の目が、オレたちを見渡す。

オレには、わかる気がした。


「人と人が争う状況、か?」

「正解です。

感情エネルギーは、負の値のほうが強く現れやすい。

怒り、悲しみ、憎しみ。

そんな負の感情エネルギーに満ちた状況。

それが“質量”の大きい一枝の特徴です」


師央が声を震わせた。


「じゃあ、消滅しやすい一枝は……。

負の感情エネルギーが少ない状態……。

平和で、幸せな世界……?」


それこそは。

師央が望んでいるはずの一枝。


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