LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


海牙は黙って、かぶりを振った。

わからない、という意味だ。


「ぼくに分析できるのは、三次元の力学のみ。

運命の“質量”を分析できるのはただ1人。

総統だけなんですよ。

ぼくは、直接には何も見えない。

でも、ヤバいそうです。

四獣珠が、因果の天秤と言っているでしょう?

それの均衡が狂うと、運命の一枝が揺さぶられて。

危険らしい」

「物理学者の海ちゃんが、曖昧なこと言うじゃん?」

「ええ。自分でも、現状が気持ち悪くてね。

だから、総統にすべて預けることができずにいる。

総統や、その周囲のチカラを持つ人々。

人間と状況を観察して分析しながら。

ぼくは、ぼく自身の結論を探してるんです」


チカラを持って生まれて。

チカラを持て余して。

海牙も、迷って悩んで生きている。


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