LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


歌うことそのものの調子はいい。


喉も心も、歌いたいトーンや情景を、きちんと出せる。



兄貴たちがブチ上げるロックチューンのサウンドとリズムとビートと、オレとの境界線がなくなる。


オレの外側が透明になって、内側の闇の深さを測ってみる。


手探りしたら、わからないものに触れた。自分の中にある、自分でも知らない何か。



リハを終えたとき、ギターを抱いたままの兄貴が言った。



「最近、煥の歌い方が変わったな。聴かせたがってる感じがする」



聴かせたいんじゃなくて、訊きたいんだよ。


オレの胸の中で見付けたこの熱っぽいモノは、何だ?


< 348 / 485 >

この作品をシェア

pagetop