LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


いきなり、兄貴がオレの頭をつかんで、ぐっと顔を上げさせた。


照明がまぶしい。


たくさんの、人のシルエット。


前の二列目くらいまで、ギリギリ顔がわかる。



鈴蘭がいた。手を叩いている。


オレと目が合って、鈴蘭は笑顔になった。唇が動いた。



“あきらせんぱい”



オレの名前を呼んだだけ。


その唇の動きが無性に嬉しかったのは、どうして?



兄貴がオレの頭に拳を当てて、ぐりぐりと動かした。



「自分が思うとおりの顔してろよ。銀髪の悪魔? それがどうした。煥はオレの弟だ。意地っ張りで寂しがり屋で世話の焼ける弟。昔から、ずっと変わってねぇよ」


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