LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
「兄貴、地味に痛い」
「おお、痛がれ。煥を痛めつけていいのは、おれだけだからな」
兄貴は笑顔で言ってのける。
暴君だ。ドSだ。
オレは痛めつけられて喜ぶ趣味はない。
「離せ、兄貴」
「ちゃんと前向いとくなら、離してやる」
「前くらい向いてる」
「いーや、煥は下ばっか見てるね。そうじゃなかったら、そっぽ向いてばっかりだ。前見てないから、気付かないんだぞ。おまえの唄を聴いてくれる人たちの応援。こんなにあったかいエールをもらってること。なのに、おまえ、何ひねくれてるんだ?」
兄貴の声はマイクに通っている。
聴衆の拍手が、また大きくなった。