LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


緋炎は、あっけなかった。


足腰が立つうちに逃げ出した。


総力戦と言ってたくせに、呆れる。



瑪都流のほうも無傷ではない。


兄貴の頬にも殴られた跡がある。


生徒会長なのに、明日どうするつもりだ?


腫れが引かない顔じゃ、ケンカがバレるぞ。



さいわい、骨折みたいな重傷者はいなかった。


兄貴は、全員の状態を確認して、息をついた。すぐに笑顔になる。



「大事に至らなくてよかった。瑪都流の誇りを守るために戦ってくれたみんな、ありがとう!」



それが兄貴の、表の本心。


裏では、ICレコーダーにすべて録音してある。


緋炎を陥れるネタは、録音データから拾う手筈だ。


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