LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


壁際でじっと立ち尽くしてるそいつは、さっきから一言も口を利いてない。


しゃべり方を忘れたみたいだ。



オレと目が合うと、そいつは口を開けた。


唇が動いた。


でも、声が出てこない。



何してるんだ?


遊んでるわけじゃないみたいだ。


顔をしかめてる。苦しそうというか、悔しそうというか。



しゃべりたいのに、しゃべれない?


いや、でも、声も言葉もちゃんと出るはずだ。


さっき、しゃべってたじゃないか。パパだの未来だの、変なことばかり。



そういえば。



「おい、おまえ、名前は?」



訊いてなかったよな、確か。


向こうはオレの名前を知ってたけど。


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