LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
キッチンから、母が呼ぶ声が聞こえた。
「師央、お願いー。晩ごはんの煮物、お味見してほしいの」
「はーい」
母は、小柄で美人でかわいい。
実際の年齢も若いが、さらに若く見える。
頭も切れるし、正義感が強い。
スクールカウンセラーとして、一生懸命だ。
そんな母が、師央のひそかな自慢だったりする。
でも、母は、料理はあまり得意ではない。
小学生のころ、師央は、実は自分のほうが母より料理上手だと気付いてしまった。
負けず嫌いの母も、それだけは認めている。
一緒にキッチンに立つ日もある。そういうのは、ちょっと気恥ずかしい。