LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
兄貴は適当に女子たちをあしらった。
再び歩き出す。
「おい、兄貴、師央のこと広めていいのか? 師央は身元不詳だ。それを学園に潜り込ませるんだぞ。教職員にバレたら面倒だろ。黙っておくほうがいい」
兄貴は肩をすくめた。
「そうカリカリするなよ。教職員と緋炎、どっちが危険だ?」
「緋炎だが」
「先生の説教食らう程度、平気だろ。師央の安全を思って、嘘くらい付き合え」
一瞬、納得しそうになった。
だけど、ちょっと待て。やっぱり変だろ。
「兄貴はどうして師央を信用する? 何を根拠に?」
肩越しに振り返って、兄貴は笑った。
「ただの勘だよ。煥の行動原理と同じさ。師央は信用できる。無条件に受け入れていい。そう思わせる何かが、師央にはある。煥だって感じてるだろ?」