LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
――少年は、ひび割れたコンクリートに膝をついた。
「嘘だ。力不足だなんて、そんな」
赤ん坊の声が聞こえている。
父も母も倒れ伏している。
母が、赤ん坊を胸にかばっていた。
父は、母と赤ん坊とをまとめて抱きかかえていた。
二人の体の下に、血だまりが広がっていく。
「パパ! ママ!」
少年は叫んだ。
昔から、そう呼んでみたかった。
甘えたふうの呼び方をしてみたかった。
応える父母の声は、ない。
ただ、赤ん坊だけが泣いている。
幼い日の少年自身だけが、命の限りに泣き叫んでいる。