ハル
先に終わったソウはサクを手伝ってからお茶を入れるためお湯を火にかける。沸いたお湯でカップに紅茶を淹れると、サクと向かい合わせに椅子に座る。サクが座るのを待って、ソウは口火を切った。
「最近どうだ?」
聞き慣れた言葉にサクは一瞬眉を寄せる。それからうーんと唸り声を上げると腕を組み、徐に口を開く。
「あんま変わんねえよ、この間と。ハルは相変わらずだし、テルはいつもハルの傍にいる。まあ最近はハルも安定してるから、テルも少し安心してるっぽいけど」
サクの台詞に、ソウはそっか、と呟いた。そうして「ゲンは?」と次の質問。
「あいつは他の部屋に閉じこもって出て来ねえよ。嗚呼、ナノは最近落ち着いてる。同じ部屋にはいるけど、メイが基本的に相手してるし。お陰で俺はアオの相手ばかりだ」
「それは仕方ない。いーじゃねえか、アオはいい子だ」
「まあ、そうなんだけど……」
サクが苦い顔をする。その表情に、ソウは苦笑を漏らす。サクの言い分が分からなくもない。部屋で一番年上なのはサクだし、歳の近い奴もいない。唯一話が合うのはソウくらいなもので、しかし毎日顔を合わせることもないため、そうなってしまう。
加えてアオも歳の近い仲間がいない。そのため、大抵は二人が一緒にいるのだ。
「んで? 他は?」
「他、は……ないかな。この先何もなければ、ゲンとナノはいなくなる気がする」
「そうなればいいんだけどな……」
二人して口を噤む。沈黙が部屋を支配する。お互いに、考えることがあるのだ。
「……なんにせよ」
唐突に、ソウが口を開く。ソウとサクの視線が交わる。
「ハルにとっては、それがいい」