オカンとたっくんの心霊事件簿
あの後、どう過ごしてきたのか記憶があまりない。

覚えているのは、自責の念ばかり。

どうしてあの子の手を離してしまったのか…。

そればかり考えていた。

気持ちが落ち着いて来た頃、私はあの子に会いたいと毎日泣いていた。

そんな私を、夫も子どもたちもそっとしていてくれた。

毎日、毎日、幽霊になっててもいいからたっくんに会いたいと願ったのだった。

けれども、たっくんの死後、私は1度もあの子の姿を見ることはなかった。

本当にあるか分からない自分の霊感に、私はひたすら願っていた。

四十九日も終わり、夫も子どもたちも徐々に日常へと戻っていく。

仕事や学校があるのだから、戻らざるを得ないのだ。

仕事に関しては私も同じだった。

しばらく休んでもいいと言ってもらえたが、いつまでも休んでるわけにはいかない。

もう少し、もう少しだけ…

もう少し休んだら、また日常へと戻らなくては…

そう、思っていた。

たっくん…、お願い…。
もう一度だけ、ママに顔を見せてよ…。



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