オカンとたっくんの心霊事件簿
「……。」

カーテンの隙間から差し込む光で朝になったことを知る。

夫と子どもたちの朝ごはん作らないと…。

そう思っても、すぐには体が動かない。

昨日もなかなか寝付けなかった。

頬を触るとまだ涙の感触が残っている。

このままではダメだ…。リョウとアキもいるんだから…。母親の私がしっかりしなくては…。

ふうっと一息つき、ごろんと寝返りをした。


「――――…!!」

私の視界に、そこにいるはずのないものが映る。

見慣れた青色のカバーオール。
あの日、たっくんが着ていたカバーオール。

私は勢いよく身体を起こした。

「……たっ…くん…?」

寝室の端のほうに、たっくんがニコニコしながら立っていたのだった。
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