オカンとたっくんの心霊事件簿
「たっくん、お願い。1度でいいから、ママって呼んで?」
私がそう言うと、
『……ママ?』
と、なぜか疑問系で言ってくれた。
まぁ、一先ず、ママと呼んでくれたからよしとするか!
そう思ったのも束の間、
『んー…、やっぱりオカンがいい!リョウ兄もそう呼んでたもん!』
と、ニッコリしながらたっくんは満面の笑みで言ったのだった。
おのれ!リョウ!!!
許さん……!!
「おーい、起きてるか?」
突然背後から声をかけられ、びっくりして振り向く。
「なんだ、起きてたのか。飯、できてるぞ。……って、壁に向かって何やってんだ…?」
そこには夫が立っていた。
たっくんがこの世を去ってから、私は魂が抜けたようになってしまい、夫が家事をほとんどやってくれていた。
私のせいで起きた事故だったのに、1度も私を責めることなく、私のことを支えてくれた。
「和彦さん!!たっくんが!帰ってきてくれたの!!」
『わーい!!オトンだぁ!!』
私が夫に駆け寄るよりも先に、たっくんは夫の周りをクルクル駆け回る。
歩けなかったたっくんが、それはもう見事に駆け回っている。
…って、そんなことより!
お父さんのことはオトンと言うのね…。
まぁ、リョウの真似をしてるならそうなるよね…と私は納得するしかなかった。
「早苗…お前…。」
不憫な目をして夫は私のほうへ歩みより、膝をつき私の肩へと手を置く。
「早苗…。たっくんが死んで、お前が辛いのはよく分かる。けどな、たっくんは死んだんだ。…もう、この世にはいない。帰ってくるなんて、あり得ないんだよ…。」
たっくんを背中に背負いながら夫が言った。
たっくんはずっと嬉しそうに『オトン♪オトン♪』と言って背中にぶら下がっている。
夫が仕事から帰ってくると、いつもおんぶしてとせがんでいたたっくんの姿が脳裏に浮かんだ。
今も嬉しそうに夫の背中にくっついているたっくん。
けど、それは夫には分からない…。
「早苗?大丈夫か?」
夫の言葉にハッとする。
「う…うん。大丈夫…。」
「飯、食えるか?」
「うん。食べられる。」
「そうか。じゃあ、リビングで待ってるからな。」
夫はそう言うと部屋から出ていった。
たっくんがヒョイっと夫の背中からおり、私の元へと掛けてくる。
『やっぱり、オトンには見えなかったね。』
ちょっと寂しそうにたっくんが笑う。
「そうね。霊感、ないんだろうね。」
『…オカンに霊感があってよかった!』
そう言って、たっくんは笑った。
「たっくん、霊感なんて言葉、よくしってるね。」
感心して私が言うと
『……ボク、いろんなことが分かるようになったんだよ!頭の中に、いろんなことが入ってくるの!それでボク、話せるようにもなったんだ!』
得意気にたっくんが言った。
見た目は一歳児なのに、頭の中はリョウやアキよりも上なのかもしれないなと感じたのだった。
私がそう言うと、
『……ママ?』
と、なぜか疑問系で言ってくれた。
まぁ、一先ず、ママと呼んでくれたからよしとするか!
そう思ったのも束の間、
『んー…、やっぱりオカンがいい!リョウ兄もそう呼んでたもん!』
と、ニッコリしながらたっくんは満面の笑みで言ったのだった。
おのれ!リョウ!!!
許さん……!!
「おーい、起きてるか?」
突然背後から声をかけられ、びっくりして振り向く。
「なんだ、起きてたのか。飯、できてるぞ。……って、壁に向かって何やってんだ…?」
そこには夫が立っていた。
たっくんがこの世を去ってから、私は魂が抜けたようになってしまい、夫が家事をほとんどやってくれていた。
私のせいで起きた事故だったのに、1度も私を責めることなく、私のことを支えてくれた。
「和彦さん!!たっくんが!帰ってきてくれたの!!」
『わーい!!オトンだぁ!!』
私が夫に駆け寄るよりも先に、たっくんは夫の周りをクルクル駆け回る。
歩けなかったたっくんが、それはもう見事に駆け回っている。
…って、そんなことより!
お父さんのことはオトンと言うのね…。
まぁ、リョウの真似をしてるならそうなるよね…と私は納得するしかなかった。
「早苗…お前…。」
不憫な目をして夫は私のほうへ歩みより、膝をつき私の肩へと手を置く。
「早苗…。たっくんが死んで、お前が辛いのはよく分かる。けどな、たっくんは死んだんだ。…もう、この世にはいない。帰ってくるなんて、あり得ないんだよ…。」
たっくんを背中に背負いながら夫が言った。
たっくんはずっと嬉しそうに『オトン♪オトン♪』と言って背中にぶら下がっている。
夫が仕事から帰ってくると、いつもおんぶしてとせがんでいたたっくんの姿が脳裏に浮かんだ。
今も嬉しそうに夫の背中にくっついているたっくん。
けど、それは夫には分からない…。
「早苗?大丈夫か?」
夫の言葉にハッとする。
「う…うん。大丈夫…。」
「飯、食えるか?」
「うん。食べられる。」
「そうか。じゃあ、リビングで待ってるからな。」
夫はそう言うと部屋から出ていった。
たっくんがヒョイっと夫の背中からおり、私の元へと掛けてくる。
『やっぱり、オトンには見えなかったね。』
ちょっと寂しそうにたっくんが笑う。
「そうね。霊感、ないんだろうね。」
『…オカンに霊感があってよかった!』
そう言って、たっくんは笑った。
「たっくん、霊感なんて言葉、よくしってるね。」
感心して私が言うと
『……ボク、いろんなことが分かるようになったんだよ!頭の中に、いろんなことが入ってくるの!それでボク、話せるようにもなったんだ!』
得意気にたっくんが言った。
見た目は一歳児なのに、頭の中はリョウやアキよりも上なのかもしれないなと感じたのだった。