ハートブレイカー
看護師が呼んでくれたのか、俺のところに医者が来た。

「失礼ですが、浪川さんとはどういうご関係でしょうか」
「愛美は私の婚約者で、直哉は私たちの息子です」

あいつには、一応プロポーズした。
それに、ここで身内とは全然関係ないようなことを言うと、詳しい病状は話してくれないだろう。
とにかく、直哉と俺が親子だというのは一目瞭然なおかげか、医者は深く追求せずに話してくれた。

「そうですか。浪川さんですが、今は眠っています。疲労が溜まっているんでしょう。体が休養を欲しているようですね。目が覚めるまではここで寝かせておきましょう」
「ありがとうございました」

去っていく医者に頭を下げるため、抱っこしていた直哉を下に下ろした。

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