ハートブレイカー
「・・・なるほど。他に自覚している症状はありますか?」
「時々視界がかすみます。あと・・生理が2ヶ月来てません。排卵まで止まっているのかどうかは分からないんですけど」
「妊娠している可能性は」

あ。なるほど。
めまいが起きたり倒れたり、生理が来ないということは、妊娠の兆候っぽくもある。
でも。

「ありません。ゼロです、わっ」

そう言いきった私の手を、海堂さんがいきなりギュッとつかむように握ってきた。
「離せ」と言う前に離してくれたけど・・・ビックリした。
思わず声、出ちゃったじゃないの!

もう何、この人の反応・・・全然分からない。
相変わらず飄々としたポーカーフェイスを貫き中だし。

「分かりました。確かに検査を受けたほうがいいですね」
「お願いします。時間はどれくらいかかりますか」
「数時間で終わります。救急で搬送されたので、緊急扱いしますから」
「助かります」
「どちらにしても、結果を知っておいたほうが心理的負担も減ります」

確かに、お医者さんが言うことに一理ある。
でもなぜ病棟へ移されたのか・・・分からないんですけど!

< 107 / 223 >

この作品をシェア

pagetop