ハートブレイカー
「な・・・」

明るい空色が妙に爽やか・・過ぎ?
しかもファミリーカーってなんか・・・海堂さんらしくないんですけど。

でも車と彼が並ぶと、不思議と似合わないってわけじゃなくて。
何だろ。違和感?

「ほら、早く乗れ」
「あぁはいっ」

お邪魔します、と言いながら乗る私を、切れ長の目がじっと見た。

「すみません。タクシーでもよかったのに」
「おまえ、金持ってないだろ」
「あっ・・・!でも家に帰ればあるし!」

多少は、ですが。
大幅、かつ余計な出費にはなりますが。

「俺は車で来た。直哉もいる。それでいいだろ」
「・・・はい」

この人には散々世話になったんだ。
今文句を言う必要はないよね。

車は滑らかに走り出した。

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