ハートブレイカー
「もう俺にも知られたんだ。ご両親にも・・・」
「そうじゃなくて」

・・・やっぱり十分に伝わってなかった。

彼が促すように片眉を上げる。
う。ハンドルに指トントン・・・イラ立ってる。

「あの・・昔から、なんです。特に父とはちょっと・・・いろいろありまして」
「・・・そうか」

ひとまずこれ以上追求されなかったことにホッとする。
直哉には聞かれたくない。

「じゃ。ありがとうございました」

早口でお礼を言うと、助手席からサッサと降りた。
後部座席を開けて直哉も降ろすと、手をつないで歩いていった。

でも2・3歩歩いたところで、海堂さんに右腕をつかまれた。

「な・・・」
「まだだ」

いつの間にこの人降りて・・・それより。

何で私はこの人にキスされてるの。

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