ハートブレイカー
「そして・・・」

彼がつぶやき、セクハラ親父のほうを見た。
あ。岸本さん、彼の視線(ビーム)に射殺されたに違いない。
彼にまだあごをつかまれたままなので、顔を動かせず、目だけチラ ッと動かしたら、セクハラ親父が、かすかにたじろいだのが見えた気がした。

とりあえずここから、心の中で合掌。

ほんの少しだけ、岸本さんのことが気の毒だな、と思った。
でもこれは自業自得。自分でまいた種だ。
私が忠告したにも関わらず、あの人は聞かなかった。
って、なぜか彼が制裁中なんですが・・・。

「俺の妻を侮辱するヤツは、誰であろうと俺が容赦しない」

彼の低い声にゾクリとして、思わず鳥肌が立ってしまった。
胸はドキドキして、体の奥がなぜか疼いて・・・。

気づいたら、肩に乗せてた右手は、彼のシャツの胸元をギュッと握りしめていた。

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