ハートブレイカー
「ただいまー」
「靴そろえろよ」
「はぁい」

何かその会話、すごく親子なんですけど！
しかも直哉、「ただいま」って・・・。
昨日が初めてのはずなのに、メチャクチャ馴染んでる！

勝手知ったる我が家といった感じで、広いリビングを走り回る直哉を、私は複雑な心境で見た。

「直哉の部屋は一番右、おまえの部屋は一番左だ」

え？私の部屋って・・・。
驚く私に、彼が片眉を上げる。

「しかし直哉のベッドが来るのは明日だ。だから今夜は・・・」
「ぼく、ママとねる！」
「わっ」

直哉が私に飛びついてきた。
グラつきながら、しっかり抱きとめる。

「直哉。ママはまだ体が弱ってるんだ。そう力を入れるな」
「はぁい」

・・・たった一日で、父と息子の絆はしっかり結ばれてる。
彼が直哉に対して責任を持ってくれたことに対して喜んでいいはずなのに、なぜ素直に喜べないんだろう。

この疎外感は・・・何だろう。


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