ハートブレイカー
「直哉だっておまえと離れたくないはずだ」
「そ、かな・・・」

私は、直哉がこの人とメチャクチャ仲良くしているところを見た。
「男同士」プラス「父と息子」の要素が掛け合わさると、二人の絆はさらに深まって・・・。
いつの間にか脆くなってた私の心は、さっきまた打ち砕かれたし。

だから私にはそう言いきれる自信・・・今はない。

「とにかく、おまえの荷物も持ってきたんだ。おまえもここに住め」
「でも・・・」
「でも、じゃない。ここで急におまえがいなくなってみろ。今度は直哉がショックを起こして倒れるかもしれない」
「そんなこと」
「ないとは言いきれない。子どもの心は繊細だ」

私も。一応・・・。

「現に直哉は昨日漏らした」
「・・・はい?」
「元気だと分かっていても、目の前で母親のおまえが倒れたんだ。それに加えて、いきなり住む環境が変わった。いい意味でだが・・・ 」

申し訳ないけど、その事実につい鼻をフンと鳴らしてしまった。
そしたら彼がフッと笑い返した。

非常ーに癪だ。

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