ハートブレイカー
15
そんな調子で、会議でのお茶出しを途中放棄したまま、結局私は会議室へ戻らなかった。
「後は三井にさせる」と言われても・・・。

彼女の仕返しが怖いわけじゃない。
ただ、後々またネチネチ言われそうな気がして。
そういうの嫌だし、面倒くさい。

「その手じゃコップを洗うこともできないだろ」
「できます」

痛むだろうけど。
という心のつぶやきが、彼に聞こえたのだろうか。
フンと鼻で笑われた。
もう・・・癪!!

「そう意地を張るな」
「張ってないし、何気に髪触るのやめてください」

そう言っても彼は私の髪を触るのをやめなかった。
何かこう・・・宥(なだ)める?
そういう風な思いが、規則的なタッチに込められてるような気がし た。

やだ。顔が赤らむ。

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