ハートブレイカー
「思ったとおり、おまえの肩、凝ってるな。ここも」
「あぁそこ、そこ・・・そ・・・」

二の腕や肩甲骨は、私にとってはまさに凝りのツボなんですけどぉ!
この人、それが分かってやってるの? って思うくらい、力加減も絶妙で。
痛すぎず、弱すぎず・・・少しイタ気持ちいい。

しかも、立て続けに後ろから頭とこめかみを優しくマッサージされてしまい、私はあっけなく屈服してしまった。

グテッと後ろの彼に寄りかかると、鎖骨を優しく押された。
こ、この人・・・私が喜ぶツボ、押さえすぎでしょ!

「・・・今日はマッサージしに来てくれたんですか」
「いや。これは思いつきだ」
「じゃ・・三井さんのことですか」

彼の手が止まった。

「終わらせないと」と思って自分から話題をふったのに、いざ終わるとちょっと・・・寂しい。
というか、物足りない。
「もう少し」と思ってしまう私は、どこまでワガママなのだろう。

でもそんな私の気持ちを読むように、彼はまた鎖骨を押さえ始めてくれた。

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