ハートブレイカー
「マナ」
「・・・はい」

何かもう、呼び方で言い返すのは疲れた。
マッサージしてもらってるって弱みもあるし。

彼の手は、肘あたりからだんだん下へ向かってる。

「おまえの手の怪我は、確証がないから俺もあいつに追及はできな い」
「分かってます。大事には至らなかったし。私なら大丈夫ですよ」

だからこの人は罪滅ぼしの意味も兼ねて、マッサージしてくれてるのかな。
部下の不始末は上司の責任でもあるって・・・これは違うけど。

「もし俺が海堂商事を辞めたら、マナは俺についてきてくれるか」

疲れたと思ったのもつかの間、彼の爆弾発言にビックリした。

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