ハートブレイカー
「マナ」
「もうやめて・・・」
「俺を信頼しろ」
「分かった・・・分かったから、もうやめて!」
「もう少し。三井のことだが、あいつにはもう二度とおまえに手出しはさせない」
「・・・どうしてそう言いきれるの」
「いろいろ持ってる手の内のひとつをつぶやいただけだ」

それを世間では「脅し」と言うんじゃ・・・。
しかもこの人の声、メチャクチャ楽しそうだし!
やっぱり彼はいたぶり好きなんだ。

まさに、敵に回すと恐ろしいタイプ。

「そういうわけだから、あいつのことは心配しなくていい。だがおまえから不用意に近づくことはするなよ」
「しません」
「Good girl」
「は」

彼の拘束が解けた。
ギシッときしむ音がして、彼がベッドから降りたのが分かった。

咄嗟にガバッと上体を起こして、彼のほうをふり向く。

「おやすみ」
「あっ、ちょ・・・」

ドアは静かに閉まった。

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