ハートブレイカー
「ふぅん。ねえ、彼ってどんな人?結婚するの?彼は子持ちで病気のあなたでも構わないって言ってるの?」

・・・懲りない人だな、もう。
ていうか。

「どうしてそういう失礼な質問するんですか」

高血圧は病気かもしれないけど、薬を飲み始めて1ヵ月半経った今は、めまいもかすみもほとんどなくなったっていうのに!

本来来る予定の日より1週間遅れた間、松田さんが2課の事務も兼務していたことを、この人はいまだに根に持ってるらしい。
「病気だから」と難癖つけては、私につっかかるの、やめてくれませんか。

「なっ、何よ。人がせっかく仲良くなろうと思って話しかけたのに、そんな言い方ないでしょ!」

どっちが。

「もういいわよ。お高くとまっちゃって。とにかく、会社ではそういう痕見せびらかさないようにしてね」
「それは“彼”に言ってください」

キーッと悔しがった顔をしている松田さんを残して、私は更衣室から出た。


< 172 / 223 >

この作品をシェア

pagetop