ハートブレイカー
「おまえはもっと肉をつけても大丈夫だ」
「は、はは」

確かに、彼の家に居候をし始めてから、食べる量は増えた。
というより、まともに食べることができるようになったと思う。
明日食べるものどうしようとか、給料日まであと1週間とか、余計なことを考えないですむようになったおかげかな。

「ところで、5日なんだが」
「明後日ですか?」
「ああ。両親がうちへ来いと言ってる。こどもの日だからな」
「あ・・・あ、なるほど・・・」

そっか。そうだよね。
こいのぼりとか兜とか、いろいろ揃えてくれてるんだろうな。

私は今までそういうこと、してこなかったから。

「分かりました。どうぞ直哉と一緒に行ってきてくださ・・」
「おまえも一緒だ」

胃がキュッと縮まるような感覚。
あ、ダメ。ちょっと・・・。

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