ハートブレイカー
20 (最終話)
目が覚めると、彼が肘枕をして私を見ていた。
飄々としたポーカーフェイス・・・じゃなくて、彼はニッコリ微笑 んだ。

「あ・・」
「いきなりあれはきつかったか」
「いや、うーん、そう・・・かな」

背を向けても彼はめげない。
彼が私を背後から抱き寄せてきた。

背中があったかい。
それに、このほうが、体がよりピタッとくっつき合う気がする。

「おまえの体はまだ本調子じゃない。避妊はこれからもする。それでもまたおまえが妊娠したら・・・今度は最初から俺も一緒に、そばにいてもいいか」

コクンとうなずくと、彼の腕に私の涙がポトッと落ちた。
慌てて彼の腕を手でこすって涙を拭くと、彼がフッと笑った。

少しだけ不安気な彼の声を聞いたとき、もしかしたら私は、この人の心を壊してしまったのかもしれないと思った。
こすっていた彼の腕を、今度は優しくなでた。

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