ハートブレイカー
奥様は当然怒る。
正則氏も認知する気はない。

この連休の間に、彼とは違った意味で、正則氏にも「いろいろ」あったようだ。
連休明けの出社早々、憔悴している正則氏と三井さんは、子どもを認知しろ、生むなの修羅場劇を繰り広げたことで、役員全員にその事実が知れ渡った。

追いうちをかけるように、彼が持っている正則氏の不当な利益受け取りの証拠をそれとなく突きつけた結果、正則氏は自ら社長退任を表明。
しかも、「警察沙汰になりたくなければ、海堂商事から完全に手を引くように」という、会長さんをはじめ、役員全員からの進言を、受け入れざるを得なかった。

彼が言ってた「駒」は「三井さん」で、この連休中に、妊娠した三井さんが行動を起こすと彼は予測していたようだ。
それであのとき「駒が勝手に動くだろう」と言ったんだ。

< 218 / 223 >

この作品をシェア

pagetop