ハートブレイカー
「・・・川。愛美(まなみ)!」
「わっ!はいっ?!」

考え事をしていたので、彼が私を呼んでいたことに気づかなかった。

「何考えてる」
「すみませ・・・」
「もっと俺のことを考えろ」
「・・・・・・は」

周囲がさらにシーンと静まり、みんな彼と私を交互に見る。
ていうか、さっきこの人「愛美」って言ったよね!

「会社では浪川でお願いします」
「なぜだ。おまえはもうすぐ海堂姓になるだろ」
「な・・」

周囲がざわついた。
松田さんが目をぎらつかせて私を見る!

こ、この人・・・絶対わざと、今ここで言ってる!

「なりませんっ!」
「婿養子希望か?」
「ち、違うっ!」
「別に俺は構わんが」とつぶやく彼は、絶対わざとそ知らぬフリをしている。

その証拠に、飄々としたポーカーフェイスが、少しだけニヤついてるし。
面白がった声出してるし!

この・・・いたぶり好きな俺様野郎!

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