ハートブレイカー
氷室さんが夢に出てきた、イコール「怖い夢アンド嫌な夢」を見た時点で、今日は幸先悪いスタートだなと思っていた。

「・・・え、そんな・・・」
「ごめんね。私もがんばったんだけど。やっぱり派遣社員はマックス3年で、一旦契約を切るって・・・」

私のくらーい気持ちに追いうちをかけるように、上司に当たる駒野さんから朝一で言われたのが、事実上のクビ宣告だった。

あ。今一瞬目の前真っ暗になった。

「浪川さんの場合、派遣さんでもかなりできるほうだったし、お子さんのこともあったから、特別に延長してたんだけど・・・もう限界だって。かといって正社員にはできないって言われて・・・」

これを決めたのは駒野さんじゃない。
上層部と下っ端の私の間で板ばさみになって、私のために奮闘してくれたに違いない。
駒野さんはそういう人だ。
むしろ感謝しないと。

「いいんです。次の派遣先決めればいいだけだから。それに直哉は もうすぐ幼稚園だし」
「そうよねぇ。託児所ももう卒業か。早いよね、ホント。ごめんね、浪川さん。力になれなくて」
「いえ!そんな。ホント、大丈夫ですから」
「うん・・・それでね、ここでの仕事は今月一杯までということになってるの。ちょうど1ヶ月あるけど、その間に次の派遣先決まるかな?」

あ。なんだ。
まだそんなに余裕あるじゃん。
逆にホッとした。
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