ハートブレイカー
その日、派遣会社からは、何の連絡もなかった。
どんなお叱りを受けるのかと、ノミの心臓の持ち主である私は正直ビビッていただけに、ちょっと拍子抜けした。

いや、今日は来なかったってだけで、明日か明後日には来るよね。
あああぁー、このいたぶりは・・・いやだ。

私のベッドの壁際で、すやすや眠っている直哉を見て、ホッと安堵するのと同時に、穏やかな笑みが私の顔に浮かぶ。

癒される。
この子の存在自体に癒され、そして私の生きる糧になる。

さ、いつまでも現実逃避はしてられない。
覚悟を決めた私は、小さな食卓で家計簿をつける作業を始めた。


< 34 / 223 >

この作品をシェア

pagetop