ハートブレイカー
「あのっ!その件ですけど。私以外の人を行かせてもらえないでしょうか」

松本さんはたっぷり5秒、私をじーーーっと見た。

「他の人・・。でもあちらさんは、浪川さんがいいと言われてましたよ。それにこれは僕個人の意見ですけど、こちらサイドから見ても、海堂さんの営業事務は、浪川さんが一番適任な人材だと思います。大体浪川さん、顔合わせ行く前まではものすごい乗り気だったのに。何かあったんですか?」

ある。あります。
私のハートを壊した男、つまり私の息子の父親がですね、どうやらあそこに勤めているらしくて。
しかもあの場にいたってことは、あの人、上のほうの役職に違いないし。
息子のことはあの人に言ってないし、知られたくないし。
ええ、思いきり私情をはさんでることは認めます。
でも接点はなくても、あの人と同じ会社で働く気はないし。
もう彼に関わる気はないから。

・・・って泣きごと言ってもいいですか・・・。

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