ハートブレイカー
「え、っと。やっぱり私には不向きかな、と」
「でも浪川さん。俺、厳しいこと言うけど」

きた!松本さんの「俺」が!

「はい」
「浪川さんにとって、今仕事してるリューチ社以上に条件がいい会社、現状で紹介できるのは、海堂商事しかない。時給だって上がるし。浪川さんくらいのスキルがあれば、正社員になることだって夢じゃない・・・」
「そんなの夢でも思いたくないです!」
「な、浪川さん?」
「私・・・私は、そんなことを望んでない、んです。確かに仕事は必要だし、私が働かないといけないことも分かってます。でもあそこは・・・あそこだけは・・・」

すがった目をしてしまっているのは分かってる。
媚びてるわけじゃないけど、卑怯な手を使ってると思う。
でも・・・それでもやっぱり氷室さんがいるところは・・・。

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