ハートブレイカー
「勝気なところは相変わらずだな、愛美(まなみ)」

うっ。 そこで名前って、それ・・・反則でしょ!
しかもその低い声は・・・。

『逆毛を立てられても、勝気な子猫がじゃれてくれとまとわりついてるようにしか見えないぞ』
『な・・んっ!』
『そうだ。もっと俺に触れろ。爪を立ててもいい。子猫程度の力しかないおまえに引っかかれても、ちっとも痛くない。逃げるな。おまえは俺とじゃれあうのが好きなんだと、いい加減に自覚しろ』
『はっ、あ、あぁんっ!』

『逃げるな、愛美』

「そ・・・今は“面接”の時間だとお聞きしました」
「だから?」
「私のことを名前で呼ぶのはやめてください」

挑むように見る私の視線と、それをしかと受け止める彼の視線が交差する。
バチバチ音を立てて、火花が散りそうだ。

まさにこれは・・・バトルなり。

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