ハートブレイカー
今ここで倒れたら、この子を潰してしまう。
だから倒れない。倒れちゃダメ。
ひたすらそれだけを、心の中で言い聞かせる。

「息子の存在を知った以上、俺はここで引き下がるつもりはない」
「だ・・・直哉をどうするつもり」

うつむいていた私は、キッと海堂さんを睨んだ。

うろたえたところを見せるな。
毅然として!

「さて、どうするか・・・まずは引越しだな」
「・・は?」
「俺は自分の子どもをここで育てるつもりはないと、さっき言ったはずだが」

まさか・・・私から直哉を取り上げようって言うの?
私と直哉を離れ離れにさせる気?

いけないと思いつつ、息が荒くなるのを止められない。
涙も止まらない。
落ち着け、落ち着け、私!

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