ハートブレイカー
「朝早くからどうし・・・」

・・・泣き声?しかも子ども。
直哉か。

ニヤついていた顔が、嫌でも引き締まった。
とにかく、落ち着いて状況把握だ。

こんな朝早くに、息子がいきなり電話をかけてきた。
愛美は俺を避けてる。 なのに、だ。
しかも、直哉(むすこ)が、だ。
ということは、何かあったに違いない。

「直哉か?どうした」

極力優しい声を出せ。
直哉を怯えさせず、落ち着かせろ。
そして状況を話させないと。

「うっ、ま、ママが・・・ママが!」

やっぱり愛美に何かあったのか。
息子に聞かせないよう、心の中で盛大に舌打ちをした。

「たすけて、パパぁー!!」

・・・ったく。
初めて「パパ」と呼ばれたのに、この状況で喜べないだろ!

愛美・・・覚えとけよ!

「今行く」

< 91 / 223 >

この作品をシェア

pagetop