ハートブレイカー
それから10分も経たないうちに、直哉と東慈恵で再会した。

「ぱ、パパぁ!」

看護師と一緒にいた直哉が、泣きながら駆け寄ってきた。

・・・軽い。
3歳児ってこんなに軽いのか?
ってことは、赤ん坊はもっと軽いわけだ。
当たり前だが。

「よくがんばったな、直哉。ありがとう」
「うっ、うっ、ぅわぁん!」

おいおい。
ギャンギャン泣きたい気持ちは分かるが、ここには他の患者が大勢いるから!

「直哉。もう少し声抑えろ」
「う、んっ」

俺は直哉を抱っこしたまま、愛美のところへ行った。

あどけない顔で眠っている愛美を、じっと見ていた。
あのときと同じ顔。
だが右手につながれている点滴が、愛美が倒れたという事実を物語 っている。
そして今、病院にいる、ということも。

愛美が倒れたのは、朝起きてすぐだったんだろう。
直哉は、怪獣と・・・「なんとかマン」の絵がついたグレーのパジャマを着ている。

着替えが必要だ。
愛美と直哉の分。
それから愛美には靴もいる。

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