秒針のとまった世界で
2秒
12時15分。

駅に着いた僕は切符を買い、改札の前にいた。

改札に切符を通す時、一瞬躊躇ったのは多分本能のようなもの。
見渡せばなんの変哲もない日常的な駅内。

僕は何を躊躇っているんだ?
おかしなことなんて何も……

キャー!!

女性の悲鳴が響く。

駆け出していく駅員と逃げ出してきた乗客。

改札を乗り越えて必死な形相。パニックに陥っていることがよくわかる。

僕はそんなことを気にもせず、改札の中へ入っていった。

焦点の合っていない目、よだれを垂らしている口、がたがたと小刻みに震えている足。

そして、わなわな震えている手にはサバイバルナイフ。

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