私は今この瞬間を一生後悔する
わたしは郁を忘れていない。
でも、晴人先輩のことは大好き。
こんなのって最低かなって、頭の中では思ってた。
でもはっきり答えは出ないままここまで来ちゃったんだ。
自分に嫌気がさしたわたしは、考えるのをやめて明日の予習をするためにカバンをあさった。
指先に、ふわふわとした感覚があった。
なんだろう?
そう思ってそれを掴んで引っ張りあげると、そこにはあの熊のキーホルダーがあった。
これ…
わたしが倒れる前に落としたやつ。
どうしてわたしのカバンに?
…考えてみれば、これを落とした時に頭に響いたあの音。
絶対おかしい。
なんか…ガラスが割れたような、そんな音。
こんなふわふわしたものからあんな音が出るなんて…
わたしのタイムスリップ疑惑と、目の前の不思議な熊。
そこから導き出される答えはひとつだった。
これを床に落とせば、わたしは郁に会える──…