私は今この瞬間を一生後悔する


「郁?今日って何月何日?」


「は?7月21日だけど。どした?」




あぁ、どおりでちょっと暑いわけ...


って、違う!


わたしはさっきまで...倒れる前までは、4月7日だったんだ。




おかしいよ。


わたしは教卓から見えないように鞄を漁って、自分の携帯を探した。



内側についている小さいポケットの中にそれはあった。




この携帯...中学のときに使ってたやつ...


わたしは迷わずそれを開いた。




7月21日 11:23



そう画面に大きく書かれていた。


それに、年も3年前...つまり、わたしが中2の年。





どうしよう、わたし、変な夢でも見てるのかな。


どうして...





なんだかよくわからないけど、隣にはわたしが忘れられなかった人...


いや、正確に言えばまだ忘れられてない人がいる。


夢でもいい、少しでいいから郁と話したかった。





「郁、次の授業なんだっけ?」


「英語じゃね?」


郁はこっちに目を向けずに答える。





声を聞いただけでわたしは舞い上がってしまった。


それくらい、郁を忘れてなかったんだと思った。



郁はわたしの初恋...


そんなに簡単に忘れられるわけがなかった。
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