私は今この瞬間を一生後悔する
大場郁。
わたしの忘れられない人。
出会ったのは中2のクラス替えで同じクラスになったのがきっかけ。
特別かっこいいわけではない。
成績は真ん中でサッカー部。
身長は割と高い方。
口が悪くて無愛想で時々優しい。
初めから席が近くて少し仲良くなった。
恋愛に発展したのは3年の冬だった。
わたしの片想い。
わたしは人間付き合いがすごく苦手で、一番仲いい友達を怒らせてしまった事があった。
その友達は、わたしを見捨てて別の友達と仲良くなった。
そしてわたしのあることないこといろいろな噂を流した。
結衣って男に媚売ってばっかりだよね。
部活でも使えないクズだったし、はっきり言って仲いいとか思われて迷惑なんだけど。
そんなことも言っていたと、噂できいた。
わたしとわざわざ仲良くしようとする人も居なかった。
そんな時だった。
郁がメールをくれた。
特に意味のないメール。
クラスのことには触れてこない。
悩みを聞いてくれるわけでもなく、教室で話しかけてくれたりでもない。
わたしはそれが逆に心地よかった。
男を取っ替え引っ替えしてるなんて噂を立てられてるわたしを郁が表立って庇ったら、またなにかされてたかもしれない。
郁にそういうつもりはなかったかもしれいけど、わたしは郁に支えられてた。
好きになるのに時間はかからなかった。
郁と志望校は別々。
もう時間がなかった。
入試が終わって、お互い第一志望に受かったことがわかったとき、わたしは郁に告白した。
結果はわたしの望んだものではなかったけど。
たくさん悩んで、たくさん泣いて、それでも諦められなかったわたしはもう一度郁に告白した。
郁は、そんなに俺のこと好きならいいよって笑った。
入学式の前日のことだった。