ずっと好きだった。
ピッピッ。ホイッスルがなる。

会場にはざわめきが起きる。

「レフェリータイム!」

審判のその声でやっと状況が飲み込めた。

翔馬が…怪我をしてる。

あたしはすぐに駆け寄る。

翔馬は足首を強く捻ったようだ。

「大丈夫か?五十嵐!翔馬と交代だ」

翔馬は真島先輩や道隆先輩が肩をかしてる。

翔馬はベンチの端で寝っ転がってる。

顔にタオルをかけてるから、表情がわからない。

試合に戻ると、まだ点差は戻らず、ウチのチームが勝ってる。

第4Q。翔馬の穴が、ここになって出始めていた。

まず、五十嵐では体力がここまで続かなくなってきたこと。

あと、リバウンドが小林先輩だけでは辛くなってきたこと。

翔馬はやっとベンチに座っているけど、

やっぱりタオルで表情がわからない。

相手チームに逆転された。

その瞬間、なにかが音を立てて崩れ始めた。

ズルズルと点差を付けられてしまった。

62対74。残り1分…

ピッーーー。ホイッスルが会場に響き渡る。

試合は終了した。

得点は、67対80。ここで負けてしまった。
< 107 / 237 >

この作品をシェア

pagetop