ずっと好きだった。
「平瀬って、あの時からよく泣くよな」

そう言って翔馬はあたしを抱きしめた。

卒業式の日…のことか。

「諦めらんねーから今も好きなんだよ。

諦められたら、よかったのにな。」

あたしは泣くばかりで、なんの返事もできなかった。

それでも翔馬はあたしが泣き止むまで、

ずっと抱きしめてくれてた。

「今日はもう寝な。心配すんな?俺何もしねーから」

笑顔でそう言ってくれた。

その笑顔がちょっと悲しそうに見えた。

「じゃ、電気消すよ」

かちゃ。

真っ暗。え。まって。あたし暗いところだめ。

翔馬の袖をつかむ。

「ごめん。寝るまで、こ…ここにいて。」

「いいよ」

翔馬はベッドに腰掛けてあたしが寝るのを待った。

どんなに気持ちが複雑でもちゃんと眠くなってきた。

意識が遠くなってく。

「ずるいやつだな…」

そう言ってあたしの頭をなでた…ように感じた。
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