イデア
「比奈,こんなの解らないの?」
「う…うるさいなぁっ!」


彼が示す問題を私はじっと睨む。
確かに中学生レベルの問題だ。
解らないなんて論外なのかも。

でも…それも少しでも彼と喋るチャンスに繋がる。
そう思うと嬉しい。

だけど…サッパリ解らない私自身に対して憤りすら感じられる。

「やっぱ解んないっ!!甫芽,訳してよ!!!」


思わず叫んだ私の口を,彼の掌が覆った。
< 11 / 100 >

この作品をシェア

pagetop