イデア
その日の放課後も,2人図書館に居た。


なんだか気まずかった。

甫芽に泣き顔見られたくなくて走って逃げたから。


…どぉしよ。
久々に本でも読もうかな。
ぁ,ハリーポッター最終巻出たんだっけ。
ハリーポッターなんて映画しか見てないけど…
いいやっ!読もう!つーか読む!


と,梯子に乗り,一番上の棚に手を掛ける。
位置は結構な高さなのに…棚には未だ届かない。

「比奈,ハリーポッター読むの?」

甫芽が後ろから取ろうとしてくれる。
梯子も私の下の段にいるのに,背伸びした私の身長よりもずっと高い。

甫芽の掌が指先な当たった。
途端に,私の顔が真っ赤になる。


意識しすぎ?

「い…いいっ!私取るから!」
「でも比奈届いてねぇじゃん」
「大丈夫だもん!取れるから…っ」



ガクッ!!!!!


力一杯背伸びした私の手からハリーポッターが滑り落ちた。
その際に体勢を崩した私は頭から地面に落ちていく。
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