イデア
端正と言うのが相応しい容貌だった。

茶に近い巻かれた黒髪を背まで揺らめかし,大きな瞳も同じ色で輝いている。
透き通るように白い肌からは華奢な腕が覗いていた。
椅子に座っていても小柄なことが解り,スタイルは良いが,その横顔にはどこかあどげ無さが感じられた。



…それが,瀬戸汀紗の正体。


何一つ,かなわなかった。
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