イデア
次の日の昼,私はまたF組の前にいた。
躊躇無く教室内に入り,汀紗の机の前で足を止める。
「瀬戸汀紗さん…よね?」
出来る限り親しみやすい笑顔で,憎む汀紗に声をかける。
「?ええ…」
疑う様子もない汀紗に私はこう続けた。
「これ,あなたの携帯でしょ?」
「あ!そうです!昨日無くしてしまって探してて…。あなたが見つけてくれたの?」
全く訝しむこと無く,汀紗は私を見上げた。
そんな汀紗に,私はまんまと嘘を並べる。
「ええ…昨日焼却炉に棄てられていたのを見かけて…ごめんなさい,誰の物か確認する為に少し触らせて貰ったの。後…メモリーカードは見つからなかった…。」
メモリーカードの損失に気付いた汀紗は,一瞬,ほんの一瞬,泣きそうな顔をした。
「…いいのそんな事!本当にありがとう!!あなた名前は?お願い,お礼させて!!」
邪気の無い笑顔に胸が苦しくなった。
が,振り払い,作り笑いに左手を差し出した。
「…B組の久嶋比奈。よろしくね。」
躊躇無く教室内に入り,汀紗の机の前で足を止める。
「瀬戸汀紗さん…よね?」
出来る限り親しみやすい笑顔で,憎む汀紗に声をかける。
「?ええ…」
疑う様子もない汀紗に私はこう続けた。
「これ,あなたの携帯でしょ?」
「あ!そうです!昨日無くしてしまって探してて…。あなたが見つけてくれたの?」
全く訝しむこと無く,汀紗は私を見上げた。
そんな汀紗に,私はまんまと嘘を並べる。
「ええ…昨日焼却炉に棄てられていたのを見かけて…ごめんなさい,誰の物か確認する為に少し触らせて貰ったの。後…メモリーカードは見つからなかった…。」
メモリーカードの損失に気付いた汀紗は,一瞬,ほんの一瞬,泣きそうな顔をした。
「…いいのそんな事!本当にありがとう!!あなた名前は?お願い,お礼させて!!」
邪気の無い笑顔に胸が苦しくなった。
が,振り払い,作り笑いに左手を差し出した。
「…B組の久嶋比奈。よろしくね。」